心拍変動パラメータ(時間領域パラメータ)語彙集

HR5分間の全心拍数の平均値
Mean(ms)5分間のRR間隔の平均
SDNN(ms)5分間のRR間隔の標準偏差
RMSSD(ms)連続して隣接するRR間隔の差の2乗の平均値の平方根であり、迷走神経緊張強度の指標
NN50連続した隣接するRR間隔の差が50msを超える総数で、迷走神経緊張強度の指標
pNN50(%)連続した隣接するRR間隔の差が50msを超える心拍の割合で、迷走神経緊張強度の指標
SD1プロット散布図の縦軸方向の標準偏差
SD2プロット散布図の横軸方向の標準偏差

心拍変動パラメータ(周波数領域パラメータ)語彙集

Total Power(TP=トータルパワー ms²)
5分間測定における周波数0〜0.4Hz(VLF,LF,HF)のパワースペクトルのトータルパワーの計算値です。この値は交感神経活動が主に占める自律神経系活動全体を反映しています。 疲労に関係した数値とも言われています。
VLF(超低周波 ms²)
0.0033〜0.04Hzの周波数帯のパワースペクトルです。この周波数帯におけるパワースペクトルのVLF成分と生理学的メカニズムの関連については、よく分っていません。一般的に、このパラメータは交感神経機能の非常にゆっくりとしたメカニズムの全体的活動を示すものとして知られています。
LF(低周波 ms²)
0.004〜0.15Hzの周波数帯のパワースペクトルです。この値は(血管運動性)交感神経と副交感神経の両方の活動を反映しています。この周波数帯に対する副交感神経の影響は、呼吸数が1分間に9回(周波数0.15Hz)以下の深呼吸をしている間LFに現れます。したがってリラックスした状態でゆっくりと規則正しい呼吸をしている時、LF値は大変高く、これは交感神経活動の増大ではなく副交感神経の増大を意味しています。
HF(高周波 ms²)
0.15〜0.4Hzの周波帯のパワースペクトルである。この値は副交感神経(迷走神経)の活動を反映しています。HFはRSA(呼吸性洞性不整脈)として知られており、呼吸によるRR間隔の変動を示すため、「呼吸帯」としても知られています。心拍数は息を吸い込むとき増大し、吐き出す時減少する。 ゆっくりとした規則正しい呼吸は、パワースペクトルのHFピークの振幅を増大させます。
LF/HF比
LF(低周波)とHF(高周波)のパワーの比率です。この値は、交感神経と副交感神経の全体のバランスを表しています。数値が高いと交感神経優位を、低い場合は副交感神経優位を示しています。しかしながら、規則正しい深呼吸をしているときの高いRSA(呼吸)効果による副交感神経活動の増大を反映していることを考慮する必要があります。 LF/HF比率は補正された値で計算されます。
LF Norm(LF補正値)
LF Norm=(LF) / (トータルパワー - VLF)×100LF補正値はLFの絶対値とトータルパワーとVLFの差の比率です。この測定はVLFの変化による影響を最小限に抑え、交感神経活動の変化を強調するものです。
HF Norm(HF補正値)
HF Norm=HF/(トータルパワー - VLF)×100
HF補正値はHFの絶対値とトータルパワーとVLFの差との比率です。この測定は、VLFの変化による影響を最小限に抑え、副交感神経活動による変化を強調するものです。
Detrend
トレンド除去。Detrendを解析法に用いる目的は「呼吸」の影響を減らす為で、「呼吸」はVLF成分を増加させる要因なので、DetrendではVLF成分が減少します。

参考書籍:心拍変動の臨床応用 編集 林 博史(医学書院)